こんにちは! Azure Monitoring チームの佐々木 大輔(ササキ ダイスケ)です。
ログを対象としたアラート ルールのログが0件の検知を行う際の注意点および、
“クエリの時間の範囲のオーバーライド” オプションについてご紹介させていただきます。
目次
- 本記事の対象となるログアラートルールは 2021-08-01 です
- ログアラートルールによって実際に実行されるクエリ
- パターン1ではログの0件を検知できて、パターン2ではログの0件が検知できない、その理由
- クエリの期間の範囲のオーバーライドについて
- まとめ
本記事の対象となるログアラートルールは2021-08-01です
ログアラートルールでは現在、主に apiversion:2021-08-01 および 2018-04-16 が存在しています。
本記事では apiversion:2021-08-01 のログアラートルールについて解説しています。
お使いのログアラートルールが 2021-08-01 なのかどうかは、以下手順で確認ください。
AzurePortalのUIから判断する
apiversion 2021-08-01 の場合
apiversion 2018-04-16 の場合
※この確認方法はログ アラート ルールの 編集画面のみの変更によって適切ではなくなる可能性があり、基本的には Azure Resource Graph Explorer より確認いただく事を推奨します。
AzureResourceGraphExplorerでリソース情報を確認する
- Azure Portal より Resource Graph エクスプローラー を開きます。
- 次のクエリを実行し、apiversion 列を確認します。
1 | resources |
ログアラートルールによって実際に実行されるクエリ
ログ アラート ルールでは、お客様が指定したクエリはそのまま利用されず、指定された期間やその他設定項目を適用したクエリが実行されています。
最終的に実際に実行されるクエリによって0件の検知を行うか否かが確定するためこのクエリを意識する事が重要となります。
アラートルール上にて指定したクエリ
1 | Heartbeat |
パターン1
設定値
- メジャー: テーブルの行
- 集計の種類: カウント
- 集計の粒度: 5分
- 演算子: 等しい
- しきい値: 0
- 評価の粒度: 5分
- クエリの期間の範囲のオーバーライド:未指定(なし(5分)の表示)
実際に実行されるクエリ
1
2
3
4
5Heartbeat
| extend TimeGenerated = column_ifexists('TimeGenerated', datetime(2022-10-26T02:08:39.0000000Z)) // クエリの期間の範囲のオーバーライドに関連 (未指定のため、期間がそのまま適用された)
| where TimeGenerated >= datetime(2022-10-26T02:08:39.0000000Z) and TimeGenerated < datetime(2022-10-26T02:13:39.0000000Z) // クエリの期間の範囲のオーバーライドに関連 (未指定のため、期間がそのまま適用された)
| where Computer in ('WIN-1FCE0JPJ64V')// ディメンション に関連 (Computer WIN-1FCE0JPJ64V のみを指定)
| summarize AggregatedValue = count() by bin_at(TimeGenerated, 5m, datetime(2022-10-26T02:13:39.0000000Z)), Computer // 粒度、期間に関連、テーブル行、カウントを選択ポータルでの検索結果
パターン2
設定値
- メジャー: テーブルの行
- 集計の種類: カウント
- 集計の粒度: 5分
- 演算子: 等しい
- しきい値: 0
- 評価の粒度: 5分
- 評価の粒度: 5分
- クエリの期間の範囲のオーバーライド:2日を指定
実際に実行されるクエリ
1
2
3
4
5Heartbeat
| extend TimeGenerated = column_ifexists('TimeGenerated', datetime(2022-10-24T02:55:55.0000000Z)) // クエリの期間の範囲のオーバーライドに関連 (2日を指定)
| where TimeGenerated >= datetime(2022-10-24T02:55:55.0000000Z) and TimeGenerated < datetime(2022-10-26T02:55:55.0000000Z) // クエリの期間の範囲のオーバーライドに関連 (2日を指定)
| where Computer in ('dasasaki-windows10')// ディメンション に関連 (Computer dasasaki-windows10 のみを指定)
| summarize AggregatedValue = count() by bin_at(TimeGenerated, 5m, datetime(2022-10-26T02:55:55.0000000Z)), Computer // 粒度、期間に関連、テーブル行、カウントを選択ポータルでの検索結果
パターン1ではログの0件を検知できて、パターン2ではログの0件が検知できない、その理由
0 件の検知を行う場合には、パターン1 の様に実際に実行されたクエリの検索結果が全く無い状況になる必要があります。
そのため、クエリのオーバーライド 2日を指定しますと、検索結果に 10/24 のデータが存在しており、直近5分のログが無い場合でも 0件での検知はできません。
このほかに、ディメンション(Computer)を増やした場合にも検索結果は パターン2 の様に検索結果が存在する可能性があり、その場合も WIN-1FCE0JPJ64V の 0 件の検知はできません。
クエリの期間の範囲のオーバーライドについて
クエリの期間の範囲のオーバーライド オプションは、クエリによって期間が指定されている場合でも、このオプションで二日を指定すると、その期間が2日に書き換えられます。
このオプションを利用する事のメリットに関するご質問をいただく事がありますが、
これは全ての期間のログを検索してしまうなどの高負荷・長時間かかるクエリ実行を避ける等、Azure 側の負荷抑制の意味合いが強く、ユーザーへのメリットをもたらす事は多くありません。
まとめ
以下の 3 点についてご理解いただけたでしょうか。
- ログ アラート ルールで実際に実行されるクエリ
- ログ0件を検知する場合には実際に実行されるクエリの検索結果が0件になる必要がある
- クエリの期間の範囲のオーバーライドを利用するメリット
本記事がご理解の助けとして、お役立ていただければ幸いです。
以上、ログ アラート ルールの 0 件検知とクエリの時間の範囲のオーバーライドについてご紹介させていただきました。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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